台車の運用上のしくみを考えます
台車の運用について、まず全体の運用体系を考えます。
モノの流れ、作業役割分担、他との関係性など全体を構築する必要があります。
現状の問題点、課題などから始まり、現場の意見を聞き取りながら「運用上の仕組み」を作ります。
台車に絞って考えれば、以下の示すようなことを含めて考えます。
ただ「台車で運ぶ」だけで考えるのでなく、他との関係もあることを考慮して改善案を立案します(機械設備との連携、運搬経路など)。
例えば台車で運べない現場もあります。「段差がある」「乗り越える障害物で避ける必要がある」「積み上げ、降ろす作業がある」など。そんな場合、高さなどを補う設備にリフターなどがあります。
ひとつの考え方にこだわらず、いろいろな面から考え、効果ある改善案を導き出します。
特に台車で検討する場合
台車のメリットと物流現場の希望を考慮してご検討下さい。
チェックポイント
- 台車の実用性(本当に台車で運ぶことが有効か。もっと他に良い方法は)
- 台車の運搬経路が明確になっているか(台車は自由に動けるのでルートを明確にする)
- 他の作業との関連性(台車だけで解決できない点はあるか)
- 荷姿との関係(荷姿から判断して運搬できるか。フォークリフトなどのパレット運搬ではどうか)
- 保全(修理できるか。交換部品の用意など)
- 安全性(ストッパーなどの機能有無)
例えば、工場の場合
下記のようなイメージの工場の場合、新製品を製造するたびに、レイアウトは固定でなく変更される場合が多々あります。
どうしても移動できない機械設備などを除き、すぐ移動できるような運搬設備が有効です。融通性のある台車で「運ぶ」ことが検討できます。
また建屋と外の通路を有効に組み合わせて「運ぶ」ことも全体では大切になります。この場合は牽引トレーラーなどの利用が有効となります。
さらに「運ぶ人」に安全で快適な作業環境を確保します。
このように工場全体を俯瞰的に見つめ、検討することが重要です。
私は、打ち合わせで地元の自動車製造工場を訪問しますが、自動車の組立工場はよく考えられていて参考になると思います。
中部産業の経験を生かしてコンテンツを作成しました。建屋内では「手押し台車」、屋外(ただし構内)では「トレーラー」を参考に検討して下さい。それぞれ「使用事例」と「台車説明」を用意しました。
台車の使用事例と説明(検討用)
建屋内での台車運営参考コンテンツ
屋外での台車運営参考コンテンツ
「運ぶ」前も重要です
運ぶ前に荷物を知ることです。下記のことを把握して下さい。
荷物は常に運びやすい状態にしておくことが重要です。段取りが大切。
台車の改善に目を向けているだけではいけません。
台車への積み降ろしで、いったん床置きしてから台車に積んだり、台車から降ろしたりしていると労力がかかります。そのような作業工程があると作業停滞します。なくすように工夫しましょう。
具体的にはモノが裸でなく、段ボール箱に入れられて運びやすい状態が望ましいです。モノの保管や整理整頓にも有効です。
5S活動(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)を前提とし、効率的な「運ぶ」工夫に取り組みましょう。
台車の基本仕様を検討します
耐荷重、操作性を考慮した車輪(キャスターなど)が選択されているのか?
耐荷重、車輪外径、取付数、自在車輪か固定車輪か、を荷物条件に合わせて適正に決定します。
耐荷重であれば、キャスターメーカーのカタログ仕様を参照して決定します。
車輪径については、始動負荷(最初に押す力)に影響します。てこ利用で車輪径が大きいほど軽く動きます。全体重量と荷台高さとを考慮しながら決めて下さい。最初に押す力(始動負荷)は、お客様の方で作業性を考えて決めて下さい。約30kgfが目安と思われます。
操作性では、車輪配置が重要となります。自在車輪と固定車輪の配置を決めます。一般的にはハンドル側が自在車輪とするのが基本です。家庭用の台車では軽量運搬が主力ですので、ハンドル側が固定車輪になっている場合が多いです。
台車は荷台と車輪の組み合わせですが、もう少し知っていると運営上のアイディアが浮かびます。「豆知識」を提供します。
台車の基本仕様を決定するための豆知識
・台車の奥深い機能を知りたい。・フレキシブルに動く台車の活用を考えたい。
台車の運用で検討すること
- 台車の稼働率向上(台車を止めた状態で荷物が積んであると停滞となります)
- 台車自重の軽減(往復運搬しますから、その重量は無視できません)
- 台車の安全(運用上、最も重要な点です)
- 荷物の保護(運搬の際に荷物を損傷しないようにします)
- 運搬経路の改善(最短移動。なるべく直線移動。良好な路面状況)
- 荷物を運ぶ継ぎ目をなくす(いちいち荷物を移すことを避けます)
台車本体の使用だけでなく、運営方法も重要です。運営コンテンツをまとめてみました。
台車を支える運用上の豆知識
・台車の安全など作業環境を考えたい・台車運営上につながるヒントがほしい。
最終的には「運搬の自動化、機械化」
人力運搬を機械化するということです。
無人搬送台車(AGV)が代表例です。中部産業では取り扱っていませんので下記の車輪を紹介します。
【製品】駆動車輪_動力化、自動化の台車に使用
運搬台車の販売責任者が伝えたいこと
「荷物を運ぶ」には「移動したり」「積んだり」「降ろしたり」します。かなりの労力を必要で作業時間もかかります。改善することが多くあります。
「運ぶ」は「移動」だけと考えるのは間違いです。
むしろ荷物の積み降ろしなど重要な作業があります。その他に棚からピックアップ、梱包など荷物の取り扱い作業が含まれています。
このマニュアルでは、「移動」と他の「手間がかかる作業」を含めて
運搬台車(部品の車輪も含めて)を中心に「運ぶ」を考えます。
少し手を加える工夫で、お客様の「運ぶ」が改善されれば幸いです。